なぜアンマッチは男が多い?
〜国家試験合格率という“現実”が、病院の選考に影響している〜
思い出してみてください。アンマッチした先輩って、男の先輩じゃなかったですか?
僕自身も、アンマッチの話を聞くたびに、ほとんどが男性です。
「病院の上の先生が女好きなのか?」なんて冗談のような理由が出てくることもありますが、
僕はもっと現実的な理由があると考えています。
それは――
「男の方が国家試験に落ちやすいから」。
病院は“落ちない人”を選びたい
まず大前提として、マッチングで病院が選んだ学生が国家試験に落ちた場合、
その病院は空き枠を出すことになります。
その穴を埋めるために、3月に再度採用試験を行う必要があり、
採用担当の先生はまた面接対応に時間を取られ、病院内もバタつきます。
つまり病院側は、「国試に受かってくれる学生」を選ぶことが絶対条件なのです。
特に倍率がある人気病院であればあるほど、
「この子なら絶対に落ちない」という安心感を優先して選びたいという空気が強くなります。
「最後の1枠、どっちにするか」という場面になったとき――
「女子のほうが国試に受かる可能性が高いから、こっちにしておこう」という判断になっても、不思議ではありません。
国試合格率の“男女差”
医師国家試験の合格率は「全体で約90%」とよく言われますが、実はその中に明確な男女差があります。
直近10年分の国試合格率のデータ
| 回次 | 実施年 | 全体合格率 | 男性合格率 | 女性合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 第119回 | 2025年 | 92.3% | 91.8% | 93.1% |
| 第118回 | 2024年 | 92.4% | 91.7% | 93.6% |
| 第117回 | 2023年 | 91.6% | 91.0% | 93.0% |
| 第116回 | 2022年 | 91.7% | 90.8% | 93.4% |
| 第115回 | 2021年 | 91.4% | 90.4% | 93.4% |
| 第114回 | 2020年 | 92.1% | 91.2% | 94.0% |
| 第113回 | 2019年 | 89.0% | 89.2% | 91.5% |
| 第112回 | 2018年 | 90.1% | 89.5% | 91.8% |
| 第111回 | 2017年 | 88.7% | 88.2% | 90.7% |
| 第110回 | 2016年 | 91.5% | 90.8% | 92.9% |
ご覧のとおり、毎年女性のほうが数ポイント高い合格率を示しているのです。
つまり、同じ大学・同じ学年でも、"男子というだけで“国試不合格のリスクがある”と見られてもおかしくないのです。
「性格」ではなく「確率」の話
ここで言いたいのは、性格がどうとか、女子が優れているとか、そういう話ではありません。
これは完全に「確率」の話です。
病院は、毎年「必ず定員を埋めたい」と考えており、
選考の終盤になればなるほど、“より安全な方”を選ぶ傾向が強まるのです。
倍率の高い病院ほどその傾向は顕著で、
国家試験合格率の違いという冷静でドライな基準が、アンマッチ率の差にも直結していると考えるべきです。
まとめ
- 病院は「国試に落ちない人」を選ばなければならない
- 直近5年すべてで、女性の国試合格率の方が高い
- 結果として、「男子=リスクがある」と見なされやすい構造ができている
次回予告:第5回ー基礎編ー 「なぜ要望・要求が強い人はアンマッチしやすいのか?」
アンマッチの原因その②、
「要望・要求が強い学生がなぜ敬遠されるのか?」をテーマに掘り下げていきます。